2014年10月にドイツよりマイセンクリスタルのグラヴィーラー(ガラスの表面彫刻職人)ロルフ・ホフマン氏が来日し、約1ヶ月にわたり全国の百貨店にて素晴らしいグラヴィール技術を披露いたしました。 マイセンクリスタル及びグラヴィール技術についてのホフマン氏のインタビューをご覧ください。

ロルフ・ホフマン氏
▲作業をするロルフ・ホフマン氏
ロルフ・ホフマン氏
Mr.Rolf Hofmann   プロフィール

1962年2月21日、マリーエンベルク生まれ。父親が近くの工場でガラスカット職人として働いていた影響で、 手工業の仕事に就こうという希望を幼い頃より持っていました。 1978年から1981年まで、オルベンハウのガラス工場でガラスグラヴィーラーの職業訓練を受け、マイセン磁器製作所養成学校でも1年の職業訓練を受けました。 優秀な成績を修めた後、引き続き研鑽を積み、1996年にマイスターの資格を取り、数年はフリーのアーティストとして活動していました。 彼は、グラスグラヴィールの様々な技術を大変うまく使いこなすことができ、人物のグラヴィールにおいて、尽きない創造力と優れた才能を際立たせています。 ロルフ・ホフマンは、スケッチをするのが好きで,(ザクセンの)ガラスの歴史も研究しています。 趣味は、スポーツ。マイセンクリスタル社の開発チームに所属し数多くの新作開発に関与しています。

-グラヴィーラーになって何年ですか?
ロルフ・ホフマン氏(以下R.H.):職人になって36年です。

-趣味は何ですか?
R.H.:絵を描くのが好きで、日本滞在中、ホテルでもよく描いていました。また、私の住むザクセン州エルツ地方は、鉱山や木工細工で有名ですが、鉱山で栄える以前は、ガラスの一大産地でした。今はその面影もなくなってしまいましたが、そうしたザクセンのガラスの歴史も研究しています。

-ホフマンさんは、ガラスの歴史だけでなく、様々な文化にも興味を持ち、それを作品づくりに活かしていらっしゃいます。特に、アーティストの世界観、技術の高さを表現できる、ユニカート(一点もの)は、目を引きます。古代エジプト三大美女の1人「ネフェルティティ」を題材にした、色被せ花瓶「エジプト-ネフェルティティ」は、どのような経緯で作られたのですか?
R.H.:ベルリンの新博物館で、ネフェルティティの胸像を見たのがきっかけで、この古代エジプトの有名な女王を花瓶にグラヴィールすることにしました。クリスタルの表面に、人物、特に顔をグラヴィールするには、高い集中力と細やかな指先の神経が必要となりますが、皆が知っている胸像の顔を、おそらく、未だ誰もが成し得ていない方法(ガラスグラヴィール)で表現したいという思いに駆られたのです。また、ガラス製造が始まったのはエジプトだと言われており、ガラスの歴史に興味を持っている私は、大変興味を持ちました。ネフェルティティのモチーフ以外に、古代エジプト文字、太陽、聖なる甲虫スカラベがこのユニカートを飾っています。

色被せ花瓶「エジプト-ネフェルティティ」
色被せ花瓶「エジプト-ネフェルティティ」
古代エジプトの女王「ネフェルティティ」と、古代エジプトの文字、そして太陽やスカラベをエングレーヴィングしました。「美しい人の訪れ」を意味する「ネフェルティティ」は、その名の通り、クレオパトラ、ラムセス2世の王妃ネフェルタリと共に「古代エジプト三大美女」と言われています。
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-中国の故事から想を得た色被せ花瓶「鯉の滝登り」は、いかがでしょうか?

R.H.:鯉はヨーロッパでも身近な魚で、クリスマス・イブに食されるなど聖なる食材としても知られています。
急流の滝を登り切った鯉が龍になるという話を読み、鯉のエネルギーを感じ、グラヴィールすることにしました。(黄河上流にある龍門という急流を登り切った鯉が龍になるという伝説で、日本では「登龍門」という言葉で知られています。)また、私自身、動きのあるものが好きなので、鯉と龍のグラヴィールはとても気に入っています。

色被せ花瓶「鯉の滝登り」
色被せ花瓶「鯉の滝登り」
アーティスト、ロルフ・ホフマンによるユニカート(一点もの)作品。自然、人間、歴史、文化など、さまざまな分野に興味を持つホフマンが、中国の故事から想を得てデザインしました。『後漢書』の李膺(りよう)伝では、黄河上流にある龍門という急流を登りきった鯉は龍になるといわれています。この伝説になぞらえて、選ばれた人のことを「竜門に登った」と形容し、日本では「登龍門」という言葉で知られるようになりました。本作品は立身出世の象徴である鯉と龍のモチーフで、強さや意志力、貫徹能力をシンボリックに表現した花瓶です。
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-日本の印象はいかがですか?

R.H.:日本の神道、仏教の考え方は、「他を受け入れ」、お互いを「尊敬」し、「正直」であるという、キリスト教にも通じる考え方だと思います。寺社仏閣や仏教文化は素晴らしいと思います。

-今後、挑戦してみたいことはありますか?
R.H.:柔らかい曲線美が特徴のユーゲントシュティールのモチーフに大変興味があります。来日して、浮世絵や19世紀後半にヨーロッパを席巻したジャポニズムの影響を受けている、この美術様式に、さらに興味を持ったので、アジア的な柄やモダンな柄にも挑戦していきたいと思います。
色被せ花瓶「オオルリアゲハ
色被せ花瓶「オオルリアゲハ」
オーストラリアやインドネシアに分布する蝶「オオルリアゲハ」。幸せのシンボルと言われています。本作品は、その虹青色の美しい翅をライトブルーのクリスタルで表現した花瓶。柔らかい曲線美が光るフォームと、動植物のシルエットは、19世紀末から20世紀の初頭にかけて流行したユーゲント・シュティール様式に特徴的なものです。
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-日本のお客さま、ファンの皆さまへのメッセージをお願いします。
R.H.:日本にも伝統工芸品があるので、日本の皆さんは、手仕事の良さを理解してくださっていて、大変感謝しています。また、皆さんとのお話から新しいアイディアや刺激を受けることもしばしばです。今後も、皆さんが喜んでいただけるようなものを作り続けていきたいと思います。 マイセンクリスタルを愛してください。


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