2025年5月、ドイツからマイセンクリスタル社のアーティスト、ルッツ・ハウフェ氏が来日し、北九州市・小倉井筒屋の催し物で、素晴らしいグラヴィール技術を披露いたしました。その機会に作品開発や作品への思いなどいろいろなお話しを伺うことができました。ハウフェ氏のインタビューをご覧ください。
ルッツ・ハウフェ氏インタビュー
1．久しぶりの来日と思いますが、日本の印象はいかがでしょうか。
ルッツ・ハウフェ氏（以下L.H.）：2003年以来の来日で、約22年ぶりとなります。前回の来日の際には、私もまだ若く、いろいろな柄を開発している最中でしたが、この22年で、私が開発した柄や作ってきた作品が日本で浸透し、お客様に見ていただけるようになったことを目の当たりにして嬉しく思います。
ハウフェ氏の代表作
色被せ花瓶「バラとオーキッド」、品番：RO/205/26AZ、高さ：約26cm、色：ターコイズブルー
正面と反対面に花があしらわれています。
色被せランプ「フラワー」、品番：FL/5218/31LB、高さ：約３１ｃｍ、色：ライトブルー
灯りをつけるとさらに美しく輝くランプです。
2．グラヴィーラーになろうと思われたきっかけなどをお聞かせください。
L.H.：元々、絵を描くことが好きで、人を喜ばせるような仕事をしたいと考えていました。磁器の絵付も学びましたが、スケッチ能力が必要とされるグラヴィーラーへの興味がより強くグラヴィーラーになりました。
3．新たな作品の開発をされるときに重視していることや、デザインの着想などおしえてください。
L.H.：伝統的な技術を使いながら、モダンなデザインになるよう心掛けています。
四季や植物の生長により変わっていく自然が好きで、ガーデニングや散歩中に着想を得たり、美術館で工芸品を見てデザインを思いついたりすることがあります。
4．ユニカート作品の開発においては、どんな事を大切にしていますか。 （ユニカート作品とは、デザインから仕上げまでアーティストによって手作りされる一点物のことです。）
L.H.：大切にしていることは、新たな作品の開発時と同じですが、ユニカート作品や限定作品は、自分自身の技術の粋を集めた作品になるようにしています。
5．今回展示されたユニカート作品、三層色被せ花瓶「オーキッド」の場合、どのようにテーマを決めたのか、またデザインのポイントや見所をおしえてください。
L.H.：まずこの特別な色の組み合わせの花瓶は、他とは違う表現で制作したいと考えました。しかし挑戦の連続でした。通常の色被せより立体感を表現できる三層被せの花瓶ではありますが、オパール色（乳白色）のガラスは光を通さないため、どのようなデザインにすべきか悩みましたし、また赤色（赤銅色）のガラスを薄く細かくグラヴィールするのは大変だったからです。世界中で愛されている蘭と桜の花のコントラストを楽しんでいただければと思います。
世界限定作品
三層色被せ花瓶「オーキッド」ルッツ・ハウフェ作ユニカート
品番：OR/46682F/43、高さ：約41cm、色：クリア/オパール/レッド
コントラストに富んだ色の組み合わせとハウフェならではの高度な職人芸による印象的な作品です。
6．クリアのガラスと色被せのガラスがありますが、グラヴィールする時の違いや気をつけていることはありますか。
L.H.：クリアのガラスでは、正面から裏面の柄が透けて見えるため、デザインを考えるのが難しく、色被せのガラスでは、濃い色やガラスの厚さがある場合、グラヴィールのレリーフ度合が重要になってきます。
7．ご自身の作品の中で、好きな絵柄おしえてください。
L.H.：花のモチーフの比較的大きな作品が好きです。細かいところまで、そして自然界にある、そのままの姿を表現できるからです。
世界限定作品
色被せ花瓶「花の夢」ルッツ・ハウフェ作
品番：FL/703/36AB、高さ：約36cm、色：アンバー、世界限定数：10点
どの面からもお楽しみいただけます。花弁を思わせる口縁部のカットも特徴的です。
世界限定作品
色被せ花瓶「花と鳥」ルッツ・ハウフェ作 品番：VF/86014/28R、高さ：約28cm、色：レッド、世界限定10点
8．いつもの工房とは異なるこのような催事場での実演はいかがだったでしょうか。
L.H.：グラヴィールや磨きの工程、様々な工具を使うことなど、お客様に直接見ていただけ、お客様がどのようなことに興味をお持ちかを知ることができ、とても充実した時間でした。
9．自然や美術がお好きと伺っておりますが、休日はどのように過ごされていますか。
L.H.：ガーデニングやサイクリング、ドレスデンの美術館を巡っています。
10．日本のお客さまへのメッセージをお願いいたします。
L.H.：今回、久しぶりの来日でしたが、日本のお客様は皆親切で、家にいるような感じを受けました。これからも皆様に喜んでいただけるような作品作りをしたいと思います。これまでのマイセンクリスタルと素敵な時間を過ごしていただき、これからのマイセンクリスタルも楽しみにしていてください。
